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薬剤師のひとりごと。 バックナンバー Vol.11-Vol.15 |
Vol.15 店頭で見る症状 「帯状疱疹」 客井宣之氏(客井薬局)数年前の夏、帯状疱疹に罹った小学4年生の男の子が有りました。その10日程前、一家で、城之崎の近くの海岸にキャンプするために、当店で薬を買われました。胃腸薬、風邪薬、救急薬や、害虫用の外用薬などでした。キャンプ場は蚊が案外多くて、ブトかブヨとかどちらか呼ばれている得体の知れないものに悩まされたそうです。男の子は、腹の部分の皮膚が赤くチクチク感じるようになり、持参したステロイド外用剤を塗ったのですが、良くならないので、急遽帰宅して相談に来られました。症状からウイルス性と感じましたので、ステロイド剤は良くないと説明して、皮膚科の受診を奨めました。その結果、帯状疱疹と診断されました。抗ウイルス剤の治療にて回復されましたが、ひどくなれば生命も危ないところでした。 特に、ステロイド剤の適用は禁忌です。極端に悪化させます。 2003/04/01 |
Vol.14 店頭で見る症状 「目に異物」 客井宣之氏(客井薬局)先日、工事現場の作業員の人が来られて、眼に何か刺さった感じで、抗菌目薬を求められました。すぐに、眼科の診断を受けて治療してもらうことを勧めましたが、忙しいからと言って嫌がります。 店頭では、サルファ剤の点眼はありますが、芥が入った程度でしたらそれでも充分でしょうが、眼球に、異物が突き刺さった状態なら、もっと強力な抗生物質により、摘出後の感染を防ぐ事が必要で、しかも、緊急を要しますよと、懸命に説得して、やっと眼科医院に行って貰いました。翌日、その人が来て、眼科の先生から、すぐに来て良かった。もし一晩我慢していたら、失明するところだったと、言われたとの事です。その後、1週間ほど、眼科の治療が必要でした。 2003/04/01 |
Vol.13 薬の事件簿 その3 「怪我の功名」 客井宣之氏(客井薬局)よく集団の食中毒事件が発生します。最近では、堺の方のO−157事件は、記憶も新しいものですが、死者が出るような食中毒の場合は、患者は勿論ですが、治療担当者も大変だと思います。筆者は、一度そのような場面の経験したことがあります。ざっと30年前にもなると思いますが、港区の朝潮には、いつも展示会が開催されていたものですが、季節は真夏の午後の日曜日起きました。その日はテレビを見ていたのですが、事件の速報がはいりました。中毒患者の人数は、約300人で、市内の数病院に分散して、収容中との事でした。もしかして、思って、勤務していた、日本橋の病院に電話しますと、案の上、急遽来てほしいと言われました。事があれば、薬局長としての責任上、日曜であれ、たとえ、夜中であれ、何回か、すっ飛んでいった事があります。そのときも、急ぎ駆けつけましたのですが、外来の待合の廊下には、大勢の人が、寝転んでいました。ほとんどの人が、吐いていました。そのとき副院長が、〔どんな菌かわからんが、多分サルモネラ菌と思うが、適当な薬考えてくれ〕と、声かけてきました。私、とっさに、〔抗生物質ケフリンの注入どうですか、胆汁から排泄しますから、腸内殺菌もできますが〕と答えましたら、〔そや、それで行こう〕と副院長がOKしてくれました。実は2日前の夜、医師全員と、薬局師参加の夕食会があって、その薬の勉強会したばかりでした。セフェム系の薬が世に出たばかりの頃で、薬価も1本1g3600円もしていました。 さて、治療の方は、吐かせるためのポリ袋を手渡し、注射のケフリン1人当り3gを500gの電解質液に溶解して、点滴しました。医師はパートの医師含めて3人だったですか、看護婦は大勢きていました。寮からも非番返上で、看護助手が応援に来てくれました。患者の方は、死にそうな苦しみ様でしたが、点滴の薬の効果が出てきて、3時間もすると、全員すっかり回復して、夕方7時には、入院する必要もなく、帰宅できました。あれほど戦場の様だった廊下も、うそみたいに静かになって、関係者一同、へとへとになりながらも、無事責任果たせてのを喜びあいました。翌日、副院長に呼ばれて、聞かれたことは、〔値段の高い薬が、よくあれだけ在庫していたな、なんでや〕 〔他の病院は、薬無いので困ったらしいで〕。私、〔 こんな事もあるかと、予感していましたので〕 と答えました。そのこたえに、すっかり感心してもらって、薬局の評判は上がりました。 他の病院より、すばやく適切な処置を行ったので、大阪でどの病院より、一番評価が良かったのです。これも、あの薬局長が、薬確保してくれていたからだと、言っていました。実際の話しますと、メーカーが成績を上げるため、前日、無理攻めで、半年分ほど、500本押し込んで行ってくれたのが、役立っただけの事で、いつもなら、30本しかなく、もしかしたら、もっと大変な事になっていたかも知れません。とにかく、薬局長の、怪我の功名になったのです。食中毒事件がおきると、昔の事件思い出されます。それにしても、あの頃は、薬も耐性も無く、よく効いたものです。 2003/03/26 |
Vol.12 糖尿病の治療最前線 客井宣之氏(客井薬局)最近、皆様に参考になるようなケースが2例あったので、報告いたします。2例とも、糖尿病の初期段階なのですが、昨年の春ごろ、当店に処方箋を持ってこられました。1例は、食後過血糖剤だけ、もう1例は、SU剤の処方でした。職場検診で初めて判った頃は、食事療法や、運動療法の大切さについて、本を貸してあげたり、治療ガイドブックをあげたりしましたら、熱心に神妙に読んで、理解してくれました。そして、神経質なくらい、食事療法を厳重に行い、運動も、スポーツ着に着替えて、よく、土手などを、歩いていました。そして、半年もすると、効果が出てきて、糖化ヘモグロビン値も5点台まで、下がりました。すると、数値が良くなるにつれて、態度が変わってきました。いくら油断禁物ですよと、忠告してあげても、無視したような風で、フウーンと鼻でくくったような、感じになってきました。1人の人は、運動していますかと、聞きますと、歩くのは面倒で、自転車でさっそうと走るほうが、気持ち良くてねと、こちらが馬鹿にされた感じ、もう1人の人も、自分のは、一時的なもので、遺伝と違うのでと一生懸命言い訳するようになりました。糖尿病は、ずっと一生管理必要ですよと、いくら説明してあげてもも、2人も、もう病気から治ったと勘違いしていました。そして、最近になって、急に悪くなってきて、しょんぼりしています。正月をきっかけに、以前の、2人にしたら普通の生活にもどしたのが原因です。あっと言う間に、糖化ヘモグロビンは8点台に逆戻り、空腹時血糖値も上昇していました。1人の話では、全快として、焼肉や、ビールや日本酒を飲んでいたそうです。そこで、 糖化ヘモグロビンは下げるのは、半年かかりますが、上げるのは1週間で充分ですよと、話ししますと、2人も、素直に聞いてくれて、現在のところ、また、修行僧のようにがんばっています。 2003/3/25 |
Vol.11 薬の事件簿 その2 [見知らぬ乗客] 客井宣之氏(客井薬局)その昔、日本橋の某病院に勤務していたときの事件です。新聞記事に、大阪の北方面の製薬会社に泥棒が入り、原料が500g20個ほど盗まれましたと出ていました。ところが、10日ほどして、病院に、アルバイトで来ている人で、普段知らん顔していたある人が、ある朝、おはようございますと、にっこと、声かけてきました。夕方、その人が、私の部屋に来て、〔先生は、人に聞いたところでは、学生時代、薬品製造の部屋に居られたんですってね。〕そして、散々お世辞言ったりしておだてます。 なにか、くさいと思ったので、用件を聞きますと、一枚の名刺を差し出し、じつは、この方が、正面玄関にきています。用件は、その方で、薬の研究の独学されていて、現在、化学反応に興味をお持ちで、特に、製造の道具の事、教えてほしいとの事です。何を造られるのですか、造るものによりますが、フラスコなどいろいろ有りますよと言いますと、フラスコと、懸命にノートします。溶媒も沢山あって、例えば、エーテルなどあってねと、言いますと、エーテルとこれも、ノートします。 私は、これは、変だと感じて、それ以上言わない決心しました。そのうち、ふと、新聞記事のことが、頭によぎってきました。とにかく、その人には会いませんよと言って面会は断りました。ところが、置いていった名刺を見ますと、病院関係の後援会の理事長の肩書きがありました。 事件は、一週間ほどして、起きました。豊中の方だったか、宝塚だったか忘れましたが、マンションで爆発があり、消火の後、そこが、覚醒剤の製造をしかけていたことが判りました。爆発前、2から3人の人が、窓を少し開けて息苦しそうに、外の空気を吸っていたそうです。焼け跡は、臭い薬のにおいとフラスコなどの器具が割れてころがっていたらしい。やはり、私が話したエーテルを使い、それが引火して火事になったのです。しかも、私が驚いたことは、逮捕者の中に、あの名刺の人の名前があるではありませんか。病院関係の理事長ともある人地が、情けないと思いました。逮捕された犯人は数人のグループげで、製薬会社から盗み出した材料から、覚醒剤を合成しようと、念の入った計画だったらしい。有機の製造なんて、所詮素人には無理で、特に、成績の悪かった私に聞きに来たのも、最低で、たとえ、私から、秘策を聞いても、失敗していたでしょう。とにかく、薬剤師は、にこにこ、接近してくる他人は警戒いたしましょう。 追記 その後、警察から何も、事情聴取はありませんでした。ただ病院に出入りして、名刺の仲介した人は、逮捕されませんでしたが、その後姿見ることはありませんでした。一件落着でした。 2003/3/18 |